IMMORTAL MIND
イモータル・マインド

Part 1 [Blue Sword]
幕間.「ルー、マヤと子作りする?」

「あぁん……うん……はん……」

 その夜、寝転がった状態のまま、ルー・アビントンは硬直していた。
 目の前では、自分を掴みながら悶えるマヤが眠っている。

 ルーはしばし口を三角にして絶句していたが、やがて体をよじって脱出を試みた。
 しかし、マヤは余計強く、ルーを抱きしめた。

 マヤの顔が接近する。表情は苦悶に満ちており、唇が濡れていた。
 ルーの頭部分についた耳は、大きく逆立った。

 ルーは、祖母の言葉を思い出していた。

 寝ころびながら抱きしめあう。
 それは子作りの第一歩だと。

「子、子作り……?」

 ルーは、思わずつぶやいた。
 そうとしか思えない。マヤが自分と子作りを始めようとしている。

 しかし、ルーの本来のターゲットは、たき火の横で馬車に寄りかかってうとうとしているハヤトであり、マヤではない。

「マ、マヤ! 違うの。早まっちゃいけないの! ルーはハヤトと……」

 しかし、マヤは彼女をより強く引き寄せた。

「ふおおおおっ!」

 マヤの胸がぎゅぎゅぎゅ、と顔面にぶち当たる。
 ハヤトを呼ぼうとしても、声すら出せない。
 たき火の向こうでは動物のうなり声のようないびきが聞こえる。
 きっとミランダだろう。ロバートも近くで眠っているはずだ。

 このままでは子作りが始まってしまう。
 なんとかしなければ。
 とりあえず、マヤの手から離れなければならない。

 ルーは、再び祖母の話を思い出した。
 望まぬ子作りに巻き込まれそうになった際には、相手の股間にある棒をつぶすつもりで強く握ればよい。

 ルーは手をのばして、マヤの股にあるはずの棒を探す。

 ない。

(ど、どうすればいいの……)

 ルーは恐怖した。そういえば自分にも棒はない。子作りの際に出てくるものだと思っていたが、違うようだ。

 だが、ルーは祖母の言葉を信じたかった。
 棒を必死に探し続け、マヤの体を手で探る。

(ぐぬぬ……どこ……? どこなの……?)
「うんっ……んんっ……そこはっ……!」

 マヤがぴくぴくと悶える。
 彼女の柔らかい胸がさらにルーの顔面を強く押すので、ルーはもう片方の手でそれを思い切り押し返す。

「あっ……ああっ……!」

 マヤがさらに強く反応して、少し手をゆるめた。
 ルーはこれだ! とばかりに胸を強く掴んだ。

「んぐっ……はあっ……」

 マヤの息が荒くなる。
 ルーは必死に胸を掴んでは離し、を繰り返す。

 だがその時、彼女の体が突如として宙に浮いた。

「……おチビ、さっきからごそごそとうるさいぞ。遊んでないで早く寝ろ。明日にはファロウに着くぞ……ふぁ」

 彼女のフードを掴んだのはロバートだった。目が半開きだ。

「違うの。マヤが……マヤがルーと子作りしようとしたの」
「寝ぼけてるのか? ほら、子どもはさっさと寝ろ」

 ロバートはルーをたき火の近くまで運び、布団をしいてやった。
 ルーは、そこではっと思い出した。

「そういえば……胸……胸が膨らんでたの。マヤはルーと同じメスだったの……心配して損したの」

 ロバートはすでに自分のふとんをかけて眠りこけていた。


 一方、悶えたままのマヤは、ごろごろと転がって、こくりこくりと頭を揺らしていたハヤトにのしかかった。

「う、うわっ!?」

 驚いて目覚めたハヤトは、すぐにルーと同じような表情で硬直した。
 マヤの服がはだけ、ほとんど全裸に近い状態だったからだ。

 ほどなく、マヤの目が開く。

 沈黙。
 ハヤトはおそるおそる言った。

「い、いやあ、何度見てもいいおっぱ」

 マヤの悲鳴と電撃魔法が夜空に轟いた。

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