プレイ日記第200弾



シムシティ2000

パート6





















「ひとつだけ、方法があります」









声を上げたのは、溝蠍だった。









「なにっ!」



「この状況をひっくり返せるのかよ!」



「ちょっと待て、さっき君は『ミッション失敗』と言ったはずだ。


なぜ今更、そんなことを言うんだ?」




「この手段はとてもリスクが大きく、


ロングソード連合のためにならないかもしれないのです。


だから進言はやめておこうと思っていました。


しかし、みなさんが諦めていないので、決心した次第です」



「ははっ、おもしれえやつだ。お前、この土壇場でナカユウを試していやがったんだな」




「だが、どうやらお眼鏡に叶ったようでうれしいよ。


ぜひ話してくれ」





「最後の手段……それは、税率をゼロにすることです」


















溝蠍が提案した作戦……税率ゼロ


全ての税率をゼロにすることにより、


街の需要を一気にマックスにするのだ。













「なるほど。確かにそれなら、余った土地に住居者が殺到するかもしれないな」



「し、しかし。そんなことをしたら財政が一瞬で破綻するに決まっているだろう!」



「確かにそうです。


しかし、人口が10万人になればアルコロジーが建設できるようになります」























アルコロジー。



10万人に達すると建造できるようになる、


小さな町のような施設。


その性能はシムシティの施設でも最強クラスで、


ひとつにつき数万人を収容できるようになっている。











「その、アルなんとかって奴で採算を取るってわけだな」



「そうです。しかし、さっきも言ったようにリスクも大きいのです。



仮に町の人口が10万人に達する前に財政が破綻してしまったとしたら……」




















溝蠍は言わなかったが、誰もがその先の答えはわかっていた。


財政、経済全てのシステムがめちゃくちゃになってしまったら


住居者の生活など一瞬にして破綻してしまうだろう。


そうなればLSUシティは崩壊である。



















「失敗すれば措置なんてもので済むはずがない。


まさに、命をかけた選択だな」





「こいつは面白い。さあ、どうするんだナカユウ。決断しな!


このまま逃げてしょぼくれるのと、失敗して死ぬのと、どちらがいい?」













ナカユウの決意は固まっていた。





















ナカユウ「きくまでもなかろうよ!」






























こうしてその夜、


全てをかけた最後の作戦


その名も『ZERO』が発令されることとなった。




















「作戦準備、完了!」



「あとは神に祈るのみだ」



「行け、ナカユウ。成功を掴むんだ!」










「作戦『ZERO』発令! LSUシティの税率は全て『ZERO』となる!」


























税率がゼロになると、


それまで停滞していた需要が一瞬にしてマックスへと変貌!


あとは、破綻する前に人口が10万人をこえるのを祈るのみだ。














「くっ! やはり持たないか……


破綻まで残り10秒! 9、8……



「ヒャア!もう我慢できねえ!さっさと10万人いきやがれ!!」



「7!6!5!」





「くそっ、くそおっ!」








「4、3、2!」








「頼むっ!!」









「1!」















































ナカユウ「あ……!」

































とつお、溝蠍、ゼネゲル「ーーーーーッ!!!」








「う……」













「うおおおっ・・・・!!!」






























LSUシティは人口10万人を達成!











すぐさまアルコロジーが建設され、町は変貌を遂げてゆく。


もう、ナカユウ部隊がいなくても発展を続けていくことだろう。


こうして、LSUシティ建設作戦は幕を閉じた。











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F県F市







「……ミッション完遂、お疲れ様です。隊長からの伝言を伝えます。


「ごくろう。自分の任務に戻れ」



……ということで、今回はこれで解散です」



「なんだ、今回は隊長のねぎらいの言葉もないのか。


あと、溝蠍が見当たらないのだが……」



「言葉を慎みなさい。隊長は忙しいのよ。


溝蠍は既に別の任務に入っています」



「生きて戻れただけでも幸運さ。


俺は群馬に戻る。皆さん、また別の任務で会いましょう」



「へっ。もう洗脳されんなよ!」



「あっ、とつお最高幹部は隊長から一度本部に戻るようにとのことです」



「ああ、わかった。


……ん? そういえば俺は任務開始時からいたわけじゃないぞ。


合流してからも連絡をしたわけじゃない。


どうして奴は知っているんだ?」
























「溝蠍。戻ったか」



「はっ。」


「群馬参謀との共同任務、そして監視ご苦労だった」


「ありがとうございます。


……しかし、よかったのですか?


今回、規律違反がとても多かったように感じられるのですが。


特に隊長、あの電話はどうかと思いましたが……



「……電話? なんのことだね?


私は彼らが、
自分たちの力で任務を完遂したとしか聞いていないが」



「……ふっ、人の悪いお方だ」



























ミッションを無事に達成したナカユウ部隊。


しかし、忘れてはならない。


ゼネゲルの陰謀が明らかになるきっかけになった出来事のことを。



あの、電話のことを。























「……群馬参謀ナカユウだな?」



「その声、ボイスチェンジャーか? 何者だ」



「……そうだな、ディープスロートとでも名乗っておこうか」




















THE END










記・群馬参謀ナカユウ